2021年、2月13日、夜11時を回ったころ。ちょうどスタッフさんが上がってから30分ぐらいたったころでした。

突然、海んちょ店内の電気が、トン、と落ちました。

あれ?

と思い、非常時用の簡易ランタンと非常灯をつけて、店内を明るくしたのもつかの間・・・

台地が大きく揺れました。

脳裏には2011年3月11日のあの日のことが・・・

べそをかきながら、慌てて店の外へ。

片手にランタンをもって、立っていると、数名の方々がお店の前に集まってきました。

「携帯電話もつながらないし、ネットもつながらないんです。なにがあったんでしょうか?」

「ここに引っ越してきて3年目なんです。田舎の親が心配するから連絡入れたいんです。」

「横浜って、海の街ですよね。これって、津波の前兆でしょうか?」

などなど、みなさん、ご不安なご様子でした。

海んちょのWi-Fiも使えずで、もうしわけなかったのですが、

幸いにも、店内は明るくすることができているし、お店の前では、かろうじて4Gがつながっている様子。今思えば、店の固定電話を使っていただけばよかった・・・

と思ったりもしますが、あの時は、女将も動転してしまっていたんです。

矢上川と鶴見川のすぐそばの海んちょ。奥をみると、矢上川向こうの川崎幸区も、鶴見川向こうの鶴見区も、煌々と灯かりがついています。

調べてみると、港北区がほぼ全域で停電していたようで。

川向うのコンビニへいけば、Wi-Fiもつながるし充電もできると思います!というアドバイスしかできなかったのが、申し訳ないです。

数名の方々と、たわいのない会話をしながら、お互いの不安を取り除いていきました。

翌日の今日。

いつものように、店先の階段と店内を、デッキブラシでこすりながらお掃除をしていると、

ご近所さんや、いつもの常連様、そして、最近足を運んでくださるようになった方々が、

お声掛けしてくださいました。

「なにかあったら、とりあえず、海んちょに行けば、だれかしらがいるもんね。」

ってことになって、女将も

「そうですよ、なにかあったら、ここに逃げてきてください!!」

とついつい。

※海んちょのテーブル席。密にならずに、ゆったりと。

 

街はずれの住宅街に店を構えて28年。

埼玉出身の女将なので、始めは、よそ者扱いされるのではないか・・・

と不安いっぱいで開業しましたが、いまでは、隣町の大型ショッピングセンター内を歩いていると、

「あ、あの人、海んちょの人だ!!」

と、子供から指を指されるまでになりました。

※お座敷席はこんな感じです。赤ちゃん連れもの方も安心して過ごしていただけると思います。

 

このコロナ禍で、近隣の事業主さんやチェーン店舗も、移転を決めたり閉店したりと、たくさんの変化があります。

でも、海んちょ女将は、やっぱりこの日吉6丁目で、相変わらずジーンズとTシャツ姿で、いつまでもいつまでも商売をしていこうと

大地が揺れて、一晩明けて、そう思うのでした。

どうぞ、こんな女将をいつまでもいつまでも、よろしくお願いします。

そして何かあったら、海んちょへ集まってください。よろしくです。

海んちょ女将